天井の照明
この照明は前の人が選んだのだろう。
何を思って選んだのだろう。
この照明を買おうと決めた時、主人は何と言葉を発したのだろう。
この照明は、私の知らない出来事たちをきっとたくさん知っているのだろう。
主人は、この家を前の人と住むために買ってあげたのだろう。
自分の想像も勝手に浮かんでしまうが、住んで始めの頃は
ローンを払い終えたら私にも家を建ててくれるらしい。
「自分のために家を建ててもらう」ということが、どれほど大きなことなのか実感がわかなかったので、その時、嬉しいという気持ちは少ししか感じなかった。
天井を見上げたら、照明が目に入って上に書いたような不安な気持ちを抱いた。
でも、その思いと同時に、自分の中にあった自信を感じた。
「自分のために、家を建ててくれていなくても、自分との思い出の方が少なくても、私の方が愛されているし、大切にされている。愛はものの数や思い出の量じゃない。私がこう感じていること自体が主人からの愛のしるしだ。」
自然に思えた。